地域生活学研究
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岐阜県高山市の苔川における食用藻類“すのり”の 過去の分布および利用
岸 大弼
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 09 巻 p. 1-15

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抄録

“すのり”は、かつて岐阜県高山市の苔川に分布していたカワモズク科の淡水藻類で、昭和時代中期まで利用されてきた伝統的な食材である。本調査では、“すのり”について記述している文献を提示するとともに、その分類、分布、出現時期、表記、名称の由来、採集・調理方法、利用年代および現状について情報を整理した。調査の結果、“すのり”が少なくとも200 年にわたる食文化を有する貴重な淡水藻類であることが示唆された。また、苔川の“すのり”の記録は、岐阜県におけるカワモズク科の分布の全容を解明する際の一助になるものと考えられた。現在、苔川では“すのり”の生育が70 年近く報告されていないが、引き続き関連情報を収集するとともに、“すのり”の有無をあらためて調査することが望まれる。

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