2020 年 76 巻 2 号 p. I_913-I_918
超過洪水による堤防の決壊や氾濫に与える河川流量の規模や継続時間の影響を評価することを目的として,鬼怒川の破堤事例を対象に,河道・堤防・堤内地の水理・土砂移動・地形変化の一体解析を行った.破堤幅,破堤深さ,侵食・堆積地形や浸水深等を良好に再現し,本モデルの適用性を検証した.二つの河川の破堤時の推定流量を基準に,流量波形を系統的に変化させた解析を行い,最終的な破堤口の幅や深さは流量規模や流量継続時間により大きく変化した.家屋倒壊等氾濫想定区域と流量波形との関係から,総流量よりもピーク流量の変化が,破堤点付近の家屋被害の範囲に与える影響が大きいことを示した.