2019 年 10 巻 p. 22-37
本研究は郡上市和良町を事例に、農山村における共生社会のあり方の一端を考察することを目的とする。このため、同町で移住促進の活動をおこなう和良おこし協議会の調査協力を得て、移住者と移住者を受け入れた集落の住民(自治会長や移住者の家主など)を対象に聞き取り調査を行った。和良町では、和良おこし協議会の働きかけもあり、集落活動に積極的な移住者が多い。集落の住民は移住者を受け入れ、交流することで、地域の魅力の再発見や移住者のポジティブな影響を強く認識するようになっている。人口減少の進むこれからの社会においては、他者を理解・尊重し、地域住民と移住者という区別を無くし、共に新しい暮らしを作り上げていく仲間として、地域課題の解決に向けて、連携体制の強化や協力関係を深めていくことが、より一層、重要になってくるといえる。