日本食生活学会誌
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論文
内臓感覚表現尺度 (満腹評価) の時間推移の検討
中島 佳緒里清水 遵
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2011 年 22 巻 3 号 p. 230-233

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抄録

  本研究の目的は, 満腹感に代わる摂食後の主観的評価指標として我々が開発した内臓感覚表現の尺度が摂食後の内臓の状態を反映するのかを, 時間経過による得点推移によって検討することであった。健康な成人33名 (平均年齢21.0歳, 男性10名, 女性23名) を対象に, VASによる満腹感および内臓感覚表現尺度17項目が, 摂食前・直後・30分後・60分後・以降1時間毎に6時間まで測定された。テスト食には, 656.3kcalの市販の弁当と緑茶350mLを用いた。その結果, VASで測定した満腹感得点において摂取前と比較して有意に高い値を示したのは, 摂食後300分までであったが, 内臓感覚表現の尺度得点は摂食後180分までであった。さらに, 下位項目である容量・重量因子得点が摂取前平均値に戻るに要した時間 (区間) をパターン分類した結果, 分析した対象者28名のうち16名 (57.1%) が180から240分区間で低下したパターン (II) であった。摂取後180分はシンチグラフィーによる胃容量の全排出時間に類似しており, 「容量・重量因子」得点は, 胃を主体とした内臓からの情報をとらえていることが示唆された。

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© 2011 日本食生活学会
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