日本食生活学会誌
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論文
料理本をもとにした韓国料理と日本料理の比較
金 廷恩内山 幸子岡田 薫松本 仲子
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2012 年 23 巻 1 号 p. 18-25

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抄録

  韓国と日本において, 著者が教員である料理書と著者が調理師である料理書各2冊を選び, 出現する食材料, 調理法, 調味 (調味料および調味法), 薬味の出現頻度を比較することによって両国の料理の特徴を検討した。採取した料理はまず, おかずと主食に分けて検討した。また, 韓国料理と日本料理の総体的な異同は調査項目ごとに相関係数を算出して検定した。
1. 食材料――おかずについては, 主菜となる食材は韓国では肉類が多く, 日本では魚介類の出現頻度が高かった。その他の食材は, 韓国ではきのこ類が多く, 日本ではいも類, 豆類, 卵類の使用が多かった。主食は, 韓国ではこめのほかこむぎ [小麦粉], そば粉, あわ, ひえなども使われていたのに対して, 日本ではこめが主体で雑穀の出現頻度が低かった。
2. 調理方法――韓国では和物や汁物が多く, 日本では煮物, 焼物が多かった。
3. 調味 (調味料) おかずは韓国, 日本ともに塩, しょうゆに加えて砂糖などの甘味料が多く使われていた。韓国ではごま油の使用頻度が高く, 日本ではみりん, 酒, だしを使用する点が特徴的であった。主食の調味料はおかずにほぼ類似した。
    (調味法) おかずは, 韓国, 日本ともに塩としょうゆを基本とするが, 韓国では, 塩を使うことが多いのに対して日本ではしょうゆを使うことが多く, 主食は, おかずの結果と類似した。
4. 薬味――韓国では, にんにく, ねぎの使用が極めて高く, 辛味料も多く使われていた。日本ではしょうがの使用頻度が最も高く, 種類は多いもののその他の使用頻度は低かった。韓国と日本では使用する薬味が大きく相違した。
5. 韓国と日本間の総体的な異同をみるために調査項目ごとに出現頻度の相関係数を求めて比較した。おかずに使う食材料とおかずおよび主食の調味法に有意な相関がみられたが, 他の項目には有意な相関は認められず, 薬味については最も相関が小さかった。

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© 2012 日本食生活学会
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