抄録
昨今の大学生の食生活の現状を把握する目的で都内の大学に在学する男女学生を対象に実態調査( 前報) につづき食嗜好や食事構成因子, 食事観などに関する意識調査を行い, 以下のような結果を得た.
1. 男子学生は肉を主とした洋・中国風料理を好むのに対し, 女子学生は洋風のスナック料理を好むなど食嗜好に男女差がみられた. また高頻度で食べられている料理の種類は限られておりラーメン, スパゲティ, カレーライスなど定番の一品ものや菓子, スナックパンなどであった.
2. 日常の食事に対する10項目の質問の因子分析の結果, 主な因子をみると男女共通の意識では「不規則である」が「食べたいものを食べている」と嗜好中心の因子があがっており, 先に報告した実態調査に裏付けられるものとなった. また, 女子では「バランスがとれていない」「品数が少ない」など自分の食事に対する反省の因子もあがった. 外食についての15項目については男女共「味」には満足していないものの家族や友人たちとの「会食」や「手軽さ」をメリットとする因子があがった.
3. 彼らの食事観を質問した結果, 食生活への関心については男女共現在の食事に「満足」しているものは50%に満たなかった./食事に時間をかけたい (特に女子)」と思い「食卓が家族の結びつきを強める」ことを肯定する一方, 「家族と時間帯がずれる」ことを気にせず「孤食」を肯定するなどの素質が大学生達の現実の生活において交錯し, 前述の内容を包合する現状の食事には満足が得られていないことが意識調査からも明らかになった