日本食生活学会誌
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無洗米
新しい無洗化処理装置 (NTWP) の開発
金本 繁晴柴田 恒彦
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2002 年 13 巻 1 号 p. 2-9

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抄録
1) 最近, 日本では, 炊飯が簡便で, 美味しく, 安全・安心して食べられ, さらに, 栄養のある無洗米が要望されている.無洗化処理装置には, 処理方法により, 湿式, 乾式, 特殊無洗化処理装置の3種類に分類される.
2) 乾式無洗米は, 炊飯前に1-2回水洗いする必要がある.湿式無洗米は, 水洗いする必要がないが, 栄養分の流出とその除糠水を処理する排水処理設備を必要とするなどの課題がある.
3)(株) サタケは, 2000年に, こうした課題解決した新しい特殊無洗化処理装置を完成した.この装置はNTwp「ネオテイスティホワイトプロセス」と呼び, 処理した白米をTWR「テイスティホワ.イトライス」という.
4) NTWPは, NTWP本機, 給水タンクユニット, リサイクルシステムの三つの装置で構成する.NTWP本機には, 糊粉層を短時間で軟化させる湿式加圧精米部, 軟化した糊粉層を均一に吸着・除去することで無洗米に仕上げる熱付着式低圧攪拌部, 無洗米 (TWR) と熱付着材 (タピオカ) に分離する分離乾燥部の3工程がある.
5) NTWPは, 排水処理設備が不要で, ランニングコストが従来の湿式より低減でき, 加工歩留が向上できた.TWRの特徴は, 白さと光沢感があり, 食味値が向上した.生菌数が, 原料白米の8×103が4.0×102まで低減した.さらに, 保存性が向上し, 炊飯後の時間経過によるご飯の食味低下が少ないことがわかった.
6) 理想の無洗米加工とは, 米1粒単位で胚乳に傷をつけることなく, 背部, 側部, 腹部の糊粉層を均一に取り除くことである.無洗米の最適加工は, 乾固物量0.60g以下と濁度70ppm以下に規定したが, 光学的評価装置を併用することで正確な評価が可能である.
7) 栄養のある無洗米が要望されている.NTWPは, 加水量が少ないことから, TWRにより多くの有用成分が含まれる.また, 無洗米処理糠に有効成分が豊富に含まれていることから, その有効利用が今後期待される.
8) 理想の無洗米加工は, 精米工場を米食品工場と位置づけ, 精米工場にHACCPを導入し, 食味の計数管理 (PACCP) を行い, さらに, 魅力的な米商品の企画・開発 (TAQM) のできる米食品精米工場構築を将来可能とする.
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