日本食生活学会誌
Online ISSN : 1881-2368
Print ISSN : 1346-9770
ISSN-L : 1346-9770
マレーシアの発酵食品ブドゥ (Budu) の諸成分と微生物について
千原 理沙角野 猛山田 幸二
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 13 巻 1 号 p. 62-68

詳細
抄録

ブドゥは, Stolenpkorus種の小鰯を砕いたものを塩漬けし, それにタマリンドを加え, 数ケ月間, 環境温度によって発酵させたマレーシアの魚醤油である.その諸成分と微生物について検討し, 次の知見を得た.
1) Na量, K量, 食塩濃度及びNa/K比はそれぞれ, 平均13, 200mg/100g, 275mg/100g, 33.6%及び48.4で, 東南アジア各国で製造された魚の塩蔵発酵食品中最も高い食塩濃度を示す調味料であった.
2) 遊離アミノ酸総量は平均5, 642mg/100であった.主な遊離アミノ酸は, グルタミン酸, ロイシン, リジン, アラニン及びアスパラギン酸であり, 遊離アミノ酸量の最も多い範疇に入る魚醤油であった.また, グルタミン酸量の割合は17.5%であった.
3) 脂肪量は平均0.69%であった.主な脂肪酸は, C16:0, C18:0, C22: 6であり, 他の種類の魚醤油と類似していた.
4) 一般生菌数は平均4.38 (log/g) であった.また, 腸内細菌科の細菌, 大腸菌群及び黄色ブドウ球菌は検出されず, 衛生細菌学的には不良な結果を得るものではなかった.
5) 分離されたBacillus属細菌はB. lickeniformis, B. megaterium, B.pumilus, B.subtilisおよびB.cereusであった.これらの至適発育温度は30℃ -42℃, 塩化ナトリウム濃度15%以上で発育が阻止された.
6) 分離された、Staphylococcus属細菌はS.xylosus及びS.cokniiでいずれも非病原性の細菌であった.

著者関連情報
© 日本食生活学会
前の記事
feedback
Top