2024 年 1 巻 2 号 p. 20-39
本研究では、大学・高専生及び社会人に対して数理・データサイエンス・AI教育を効果的に行うことを目的として、それらの教育の必要となる「記述統計」の基礎事項の理解度とつまずき箇所の考察を、文系大学生に行った基礎力テストを用いて分析を行った。 分析の結果、問題で具体的な数値を与えた場合、平均・中央値・最頻値を求める方法については良好な正答率であった。しかし、具体的に数値を与えなかった場合は平均についても求めることができない学生が散見され、具体的な数値を与えた場合と比較して有意な差が認められた。分散については、具体的な数値を与えた場合も正答率は低く、具体的な数値を与えなかった場合は正答率が更に下がった。そのため、分散の教育は具体的な計算から指導する必要があると考える。四分位数については定義が曖昧な学生が散見されたため、教育を実施する際は定義の説明のみならず意味や実用性を含める必要がある。