抄録
本稿では,タブレット端末等のデジタル媒体と,ノートや学習ドリル等の紙媒体をハイブリッド併用した在宅学習の実践報告を通して小学校での教育DXの意義と課題を事例的に明らかにする.二か年の実践を通して,ファイル共有サービスと動画共有フォーム,及びWeb会議システムを併用し,(1)児童の学習状況を即時把握できること,(2)提出に伴う保護者の負担が軽減されること,(3)教員のデータ管理が容易であること,(4)音楽科や家庭科など実技系教科への汎用性があること, (5)児童が質問するツールの選択肢を増やすことができること,が意義として事例的に確認された.その一方,(1)学習プロセス把握の難しさ,(2)児童へのフィードバック方法の限定,(3)家庭環境によるデジタルディバイドなどが課題として残された.