抄録
本稿は観光者の情報取得意思とアプリ内情報とが結びついて観光行動に表出されるスマートツーリズムのメカニズムを解明した。動因のみから始まる場合、旅行記やクチコミなどの主観情報を無批判に受け入れてアプリによる提案先へ行動するものと、主観情報に頼っても複数のアプリを駆使して情報を精査し、行動意図を固めようとするものとがあった。一方、動因・誘因ともに明確な状態から始まる場合、情報探索には固有名詞を用いることとなり、観光者は地図や乗換などの客観情報に基づく選択肢から合理的に選択した。たとえ不明確な誘因から始まる場合であっても、客観情報を中心に構成されるアプリを利用すると合理的な判断がなされた。