抄録
本稿では、旅や観光が人間にとって持つ意義や効果を再度吟味する作業の一環として、想像力が観光経験において果たす役割について、観光学理論や哲学・文学等の人文知を主に参照し、包括的な探究に向けた準備的考察をおこなった。その際、プレツアー、オンツアー、ポストツアーの 3 つの場面に分けて、それぞれにおける想像力の働き方を、他の心的作用との関わり方や、観光者の主体性の再編成、及び他者に対する態度の変容という問題との関連性において考察した。結果、想像力の役割に関する諸論点と、今後の探究課題が明瞭化された。