抄録
本研究では、観光政策としてのトラベル・バブルの全体像の把握を目的に、関連する先行研究を通史的に分析すると同時に、ニュージーランドを事例とした政策形成過程の検証を行った。その結果、トラベル・バブルが、社会学、医学・疫学を含めた多元的な議論の中で形成された概念であることが可能性が高いことが分かった。またニュージーランドにおけるトラベル・バブルの導入には、観光分野に留まらない幅広い分野の議論や事象が作用しており、トラベル・バブルの多元性が政策形成という実践面にも影響していることが明らかとなった。