生活大学研究
Online ISSN : 2189-6933
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知識経営の視点から見るリベラルアーツ教育
自由学園最高学部における教育プロセスの実証分析
横原 知行
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2018 年 4 巻 1 号 p. 1-13

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抄録

 本研究の目的は、リベラルアーツ教育のプロセスについて、知識経営の視点から実証的研究を通して明らかにすることである。本研究で分析対象とするのは自由学園最高学部である。本研究では知識経営の分析枠組を用いる。知識経営とは、既存の知識を共有・活用しながら、新しい知識を創造する経営の実践を考察対象とする経営学の専門領域である。本研究ではその分析枠組を最高学部における教育プロセスの分析に詳細に適用する。はじめに、リベラルアーツ教育と、大学における知識経営について先行研究を整理し、本研究のねらいを明らかにする。次に、知識経営の考え方に基づいた知識の共有・活用・創造、そして、形式知と暗黙知の相互変換について説明する。続いて、最高学部の教育プロセスについて検討する。関連する文書に依拠しながら、最高学部の教育理念とカリキュラム―「生活教育」、「基礎カリキュラム」、「専門カリキュラム」、「ライフデザイン」―について概観する。その上で、最高学部のリベラルアーツ教育の特色の一つである「テーマ別グループ研究」(ゼミ)の教育プロセスについて、観察した事例をもとに分析を行う。ゼミ生たちはどのようなプロセスによって自身の関心ある領域の学習を深め、また、どのように他者と相互作用しながら学んだ知識を共有・活用・創造しているのか、詳細に分析する。以上を踏まえて、最高学部における教育プロセスを知識経営の視点から分析する。特に、最高学部の教育プロセスは、知識の共有・活用・創造という知識プロセスを内含していること、形式知と暗黙知の相互変換が起こっていることの二点について述べる。最後に、最高学部のリベラルアーツ教育の実証分析を通して明らかになった発見事項、インプリケーション、最高学部への期待、将来研究の示唆について述べる。

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