生活大学研究
Online ISSN : 2189-6933
ISSN-L : 2189-6933
自由学園植林活動80年通史
自由学園における農場・植林事業概説 (2)
吉川 慎平
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 7 巻 1 号 p. 35-44

詳細
抄録

本稿を含む2編の論考「自由学園における農場・植林事業概説(1)~(2)」では、2021年時点で80年が経過した自由学園における農場、植林活動を一貫した「事業」として捉え、その歩みと現状を、資料・証言等に基づき通史的に概説することを目的とする。(2)の本稿では、自由学園の「植林活動」に注目する。 自由学園創立者・羽仁吉一による男子部創設の構想では、その教育環境として南沢キャンパス(東京都東久留米市)を本拠地としつつも工場、農場、そして山林(植林)が挙げられた。工場は南沢キャンパスで、農場と植林は那須で実現した中、今日に続く山林での本式の植林活動は、戦後に開始。荒廃した国土の保全という時代の要請もあり、男子部卒業生の教員らを中心に実行段階へと移され、その活動場所を広く求めていった。各地域の協力者の支援のもと、学園教育に対する地元自治体・関係機関の深い理解により、公有林・国有林を分収育林契約によって借り受けた、特例的ともいえる「学校林」の形が実現した。またその活動は海外や地域活動へと発展した。本稿では、1. 植林活動のはじまり、2. 戦後の社会背景と学園の動き、3. 各植林地の概要と展開、4. 植林活動の現状の4つに分けて全体像を概説する。自由学園最初の植林地である那須農場については、『自由学園那須農場80年通史―自由学園における農場・植林事業概説( 1)―』に記した。なお本稿は、『自由学園100年史』第III部第6章「植林活動 地域と共につくるキャンパス」の「増補版(100 年史関連論考)」と位置付けられる。

著者関連情報
© 2022 自由学園最高学部
前の記事 次の記事
feedback
Top