日本救急医学会雑誌
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症例報告
Blue Rhino法による経皮的気管切開術で皮下気腫,縦隔気腫,および気胸を合併した1症例と合併症予防策について
大間々 真一吉田 雄樹小笠原 邦昭遠藤 重厚
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キーワード: 気道内圧, 気道確保, 肺挫傷
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2010 年 21 巻 3 号 p. 126-130

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抄録

経皮的気管切開術は,簡便かつ迅速に気管切開を行うことができるが,皮下気腫,縦隔気腫,気胸など気腫合併症を起こすことが報告されている。我々は経皮的気管切開術を行い,大量の皮下気腫,縦隔気腫,および気胸を合併した1例を経験し,その合併症の予防策について考察したので報告する。症例は急性硬膜下血腫,脳挫傷,肺挫傷の56歳の女性で,呼吸状態が安定し人工呼吸器より離脱後,経口気管チューブを抜管したが,その後呼吸障害が出現したため再挿管した。再挿管翌日にBlue Rhino法により経皮的気管切開術を行ったが,術中に経口気管チューブを先に抜去してしまい,術直後から頸部と前胸部に大量の皮下気腫,縦隔気腫,右気胸を認めた。術中の不十分な上気道確保と気管切開チューブ挿入操作中に頸部の皮膚切開部がチューブにより閉塞したため,咳嗽で生じた高圧の呼気が排出されず,気管切開部より皮下に進入して気腫が発生したと考えられた。Blue Rhino法は気管穿刺部を拡張し気管切開チューブを挿入する際に気道確保が不十分であると,咳嗽反射等により気道内圧の上昇を起こしやすい。適切な鎮静や気管切開チューブ挿入完了まで経口気管チューブを抜去せずに術中の気道を確保することが,気腫合併症回避に重要であると思われた。

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© 2010 日本救急医学会
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