抄録
症例は87歳の女性。意識障害を主訴に救急搬送された。搬入時にはショックを呈していた。腹部造影CTで造影剤の血管外漏出像は指摘できなかったものの,右総腸骨動脈の血管壁が不整であり,出血点と判断し,右総腸骨動脈瘤破裂と診断した。出血性ショックではあるものの輸液への反応が良好であったこと,両側総腸骨動脈に瘤を認め,破裂瘤と共に外科的治療を検討したが,高齢,開腹術の既往,高血圧,認知症といった背景から開腹術をハイリスクと評価したことから,侵襲度の低い endovascular aneurysm repair(EVAR)を選択した。本症例のEVARは両側内腸骨動脈を閉塞し,ステントグラフトを留置する方針とした。EVAR施行後は血行動態が安定し合併症もなく,社会復帰が可能となった。輸液に反応する出血性ショックで,開腹術にハイリスクを有する総腸骨動脈瘤破裂に対しEVARが有用である可能性が示唆された。