日本救急医学会雑誌
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特別寄稿
救命救急センターにおける小児の診療に関する全国調査
山田 至康市川 光太郎伊藤 泰雄長村 敏生岩佐 充二許 勝栄羽鳥 文麿箕輪 良行野口 宏
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2012 年 23 巻 2 号 p. 65-81

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抄録

小児救急医療においては初期・2次救急への対応策が取られてきたが,平成21年度からは厚生労働省による検討会が持たれ,3次救急への対応が検討されるようになった。今回の調査では9割近くの救命救急センターは,常に小児救急医療に対応していたが,施設の特徴により受診数や入院数,入院病名には差異が見られた。小児の年間ICU入院数は平均19.3名で,CPA数平均4.0名,死亡退院数平均2.7名が示すように重篤患者は少なかった。小児の利用可能なICUは20.3%にあったが,そのうちで救命救急センター内にあるものが7.2% で,病床数は平均1.6床であった。時間外における小児科医の対応は72%で可能であったが,救命救急センターの常勤小児科医によるものは15%であった。救命救急センターは施設間に偏りがあるものの小児の3次救急に可能な範囲で対応していた。小児の内因性疾患に対応可能な施設は,小児科医と救急医が協力し,重篤小児の超急性期の治療を進めていく必要がある。

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© 2012 日本救急医学会
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