抄録
【目的】輸血を必要とする重症外傷患者に対して,より多くの新鮮凍結血漿(FFP)を投与することによって転帰を改善する可能性があるかを検討した。【対象と方法】2006年1月から2010年12月までに当院救命救急センターに搬送された外傷患者のうち来院から24時間以内に赤血球濃厚液8単位以上を投与した患者を対象とし,来院から24時間までのFFPとRCCの投与比により,低FFP/RCC群(51例)高FFP/RCC群(54例)との2群に分けて比較検討した。【結果】対象症例は105例であり,年齢56.3±20.6歳,男性75例(71.4%),ISS 30.7±11.3だった。両群において年齢,性別,受傷機転,来院時血圧,体温,ISS,RTS,Ps,Hb,PT-INR,BE,APACHE II,SOFA scoreに有意差はなく,来院から24時間以内のRCCと血小板投与量にも有意差はなかった。両群の24時間の生存率は64.7%と83.3%,生存退院率は54.9%と74.1%であり,ともに高FFP/RCC群の方が有意に高かった(p<0.05)。【結論】大量輸血を要する外傷患者に対して,積極的にFFPを投与することにより転帰を改善する可能性がある。