抄録
症例は4歳の女児。当科搬送2日前から嘔吐を繰り返し,搬送2日前に夜間小児救急外来を受診した。診察の結果,急性胃腸炎の診断で帰宅となった。翌日にも嘔吐を繰り返すため,近医小児科を受診した。同様に急性胃腸炎の診断となり,内服薬を処方されて帰宅となった。搬送当日の朝,意識のない状態を発見され救急要請となった。救急隊現場到着時は心肺停止状態であった。心肺蘇生を施行しながら搬送となった。病院到着時は心静止であった。気管挿管し,左脛骨から輸液路を確保し蘇生を継続した。病院到着後16分で心拍再開した。カテコラミンを使用し,血行動態が安定したところで原因検索のためにCTを撮像した。CTで胃の高度拡張,胃周囲に微小の腹腔内遊離ガス,腹水貯留を認めた。胃軸捻転を疑い,緊急手術の準備を進めていたところ,再度心肺停止となり,蘇生を開始した。しかし,治療に反応せず永眠した。胃軸捻転症が心肺停止の原因と考えられた小児の心肺停止症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。