日本救急医学会雑誌
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小児心肺停止症例の検討
柳井 真知有吉 孝一佐藤 愼一
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2005 年 16 巻 9 号 p. 545-551

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抄録

目的:小児心肺停止の特徴を調べ,発生予防と治療成績向上に寄与する因子を検討する。方法:1999年から2003年の5年間に神戸市立中央市民病院救命救急センターで取り扱った15歳以下院外心肺停止例の年齢,性別,心肺停止の原因,基礎疾患の有無,bystander cardiopulmonary resuscitation (CPR)の有無,ドクターカー出動処置の有無,心拍再開率をカルテレビューから検討した。結果:52,635人の小児救急患者のうち院外心肺停止は36例(0.07%)であった。年齢では0歳が28%で最多,性別では男児が61%を占めた。原因は窒息が7例(19%),次いで肺炎,sudden infant death syndrome (SIDS)であった。21例(68%)で剖検を行った。bystander CPRは12例(33%)で施行,ドクターカーは8例(22%)で出動した。心拍再開は5例(14%)で認めた。心拍再開率はbystander CPR施行例では33%,非施行例では4%で有意差を認めた(p=0.03)。ドクターカー出動例での心拍再開率は38%,非出動例では7%でドクターカー出動例で有意に高かった(p=0.005)。結論:小児心肺停止の心拍再開にはbystander CPR,ドクターカー出動による速やかな救命処置が寄与している。

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