日本救急医学会雑誌
Online ISSN : 1883-3772
Print ISSN : 0915-924X
ISSN-L : 0915-924X
敗血症および敗血症性ショックの動物実験モデル
その歴史的意義と将来への展望
島崎 修次三島 史朗
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 5 巻 1 号 p. 1-14

詳細
抄録
敗血症および敗血症性ショックの動物実験モデルに関する論文をreviewした。近年,humoral mediator等に関する研究の進歩とともに,敗血症に関連する種々の概念にも大きな変化がある。本稿では敗血症を,感染に対するsystemic inflammatory responseの出現であるとする定義に則り,その病態と敗血症モデルに関して今日的視点より概説した。さらに動物実験モデルを敗血症研究の進歩とともに,(1)軟部組織膿瘍モデル,(2)菌血症モデル,(3)腹膜炎モデル,(4)エンドトキシン血症モデル,(5)グラム陰性菌以外のモデル,(6)humoral mediatorモデルの6つに分類し,それぞれの歴史的意義を検討し,各モデルを評価した。動物モデルは再現性に優れ,かつ敗血症の特徴であるhyperdynamic/hypermetabolic stateを呈する必要があること,従来の感染巣作成モデルのように,focusの起炎菌と血液培養で陽性を示す菌が一致をみる必要はなく,むしろSIRSを誘発する起炎物質のモデルが重要であること,さらに敗血症性ショックは病期により各血行動態が異なるので,実験動物においても各時期の詳細なモニタリングが必要であることなどが提言できる。
著者関連情報
© 日本救急医学会
次の記事
feedback
Top