日本救急医学会雑誌
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津波災害による負傷者のストレス分析
心理学的ストレス評価と対処行動
今泉 均金子 正光丹野 克俊吉田 正志杉山 善朗黒田 みゆき
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1994 年 5 巻 7 号 p. 655-662

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抄録

わが国では,災害時のストレスに関する検討はきわめて少ない。今回,津波災害後の5症例を対象に,受傷約1週間後に心理的ストレス反応尺度(psychological stress response scale,以下PSRSと略す)を用いて,ストレスの評価と対処行動について検討した。PSRSの合計の平均値は94点ときわめて高い値を示した。情緒的反応のなかでは抑鬱気分や不安,怒りの得点が高く,情緒的な不適応感や不安定感が目立った。認知・行動的反応のなかでは心配や無気力,焦燥の得点が高く,やる気が起こらずに引きこもる傾向が強かった。しかし,自信喪失や不信などの対人的ストレスや自分の能力についての悩みの関与は低かった。災害医療において,身体的治療を行うことの重要性は変わらないが,加えて負傷者の心理状態や精神状態を把握したうえでの対応が必要である。

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