日本救急医学会雑誌
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左主幹部閉塞を認めた急性心筋梗塞症例の心電図所見と予後
有馬 健長尾 建矢崎 誠治上松瀬 勝男
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1996 年 7 巻 2 号 p. 69-75

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抄録
目的:左主幹部(LMT)梗塞は,病院到着前に心肺停止(CPA)に陥る例や病院到着時すでにショックに陥っている例が多く,その心電図所見と予後の関係は明らかでない。そこで本研究の目的はLMT梗塞の急性期心電図所見を分析し,その予後を明らかにすることとした。方法:対象は来院時心肺停止症例を含め緊急冠動脈造影(CAG)を施行した急性心筋梗塞(AMI) 414例のうち,LMTが閉塞していた10例とした。そして,この10例の収容時および心拍再開時の心電図所見と予後の関係を検討した。結果:死亡率は70% (7/10)で,その死因はLOSが6例,心破裂が1例であった。収容時または心拍再開時の心電図所見と予後の関係は,narrow QRS波形では75% (3/4)が生存し,wide QRS波形では全例(6/6)が死亡した。そして,このwide QRS波形のV1誘導はrR'型が4例,R型は2例であった。総括: wide QRSを呈したLMT梗塞は最重症AMIであり全例が死亡した。そして,このQRS波形はV1誘導がrR'またはR型右脚ブロックパターンを呈する特徴を有していた。一方,narrow QRSを呈したLMT梗塞例は,その後の再灌流療法などの治療が功を奏すると予後は比較的良好となった。
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