日本乳癌検診学会誌
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乳房超音波併用検診の精度管理
人間ドック施設における乳房超音波検診の精度管理
小柳 敬子佐野 宗明
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2012 年 21 巻 3 号 p. 259-264

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抄録

日本乳癌学会編のガイドラインでは,超音波による乳がん検診は「勧められる十分な根拠は現時点ではまだない」とされている。しかし,検査の簡便性および非侵襲性や,乳腺密度の高い乳房には有用であるという報告から,以前より多くの施設や団体で乳がん検診における超音波検査の有用性が検討されてきた。新潟県労働衛生医学協会は新潟県内全域に9カ所の人間ドック施設を有し,乳がん検診は職域検診を中心とした任意型検診として施行している。当初は視触診に加え,精度を上げる目的で超音波検査を併用してきたが,2000年より希望者にはマンモグラフィを追加してきた。今回,2007年から2009年の3年間に精度向上を目的にシステム上の改善を試みたところ,乳癌発見率は0.17%から0.22%に上昇が認められた。また,モダリティ別に早期癌率を調べると,マンモグラフィのみで診断された乳癌はDCISが35.7%と非常に高く,早期癌率は100%であった。一方,超音波検査のみで診断された乳癌は,DCISは15.8%であったが病期Iの浸潤癌が78.9%と高く,両者を合わせた早期癌率は94.7%であった。このことより,早期の浸潤癌の発見には超音波検査が有利であることが示唆された。それぞれのモダリティの特徴を生かした併用検診の実施は乳癌の死亡率減少に寄与することが期待される。

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© 2012 日本乳癌検診学会
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