2012 年 21 巻 3 号 p. 273-279
マンモグラフィ検診に超音波検査を併用する際に,それぞれの検査で要精検者を決定すると感度は上昇するが,特異度は低下する。特異度を上昇させるための方法として,日本乳腺甲状腺超音波診断会議乳癌検診研究班では総合判定基準を作成した。要点は以下のとおりである。1)マンモグラフィ所見を参照しながら超音波検査を行うことを推奨する。2)マンモグラフィ上の高濃度部分は注意して超音波検査を行う。3)マンモグラフィ上に境界明瞭平滑な腫瘤があり,超音波検査で明らかな良性病変(単純嚢胞など)であることが確認できれば要精密検査としない。4)マンモグラフィ上に局所的非対称性陰影が認められるが,超音波検査で正常乳腺であることが確認できれば要精密検査としない。特に若年者ないしは高濃度乳房において,本判定基準を適切に運用することによって,マンモグラフィ単独検診に比べてより有効性が高く,かつ不利益の小さい乳癌検診を行うことが可能である。