2014 年 23 巻 1 号 p. 98-106
群馬県内の乳癌集団検診は,昭和55年から群馬大学第二外科と県内各地にある第二外科関連病院の外科と当時の群馬県対がん協会(現在の群馬県健康づくり財団)の協力で県内の検診委託市町村の住民を対象に始まった。昭和55年から平成23年までに精査できた32年間の検診受診者総数は百万名を超え,発見乳癌患者数は1,220名となり,全員が手術を受けている。視触診法に乳房撮影(MMG)が導入されて検診受診者数も年間5万人前後となっていたが,平成17年の老健法の改正で2年に一度の検診となり,受診者数は半減した。しかし乳癌の発見率は視触診検診の頃の0.13%から0.35%に激増した。そこで今回はMMG検診の意義を検討する目的で,発見された乳癌症例のMMGの所見やカテゴリー判定の頻度,さらに発見された乳癌症例を組織学的に検討して臨床病期別頻度で比較検討した。その結果,年次ごとに乳癌の早期例の頻度が増加して,IV期例はきわめて少なく,特に0~Tis期での発見例が視触診のみの時代の6%から年次ごとに増加して,最近では発見乳癌例の実に23.3%がこの時期に手術を受けていることが確認できた。一方,全国的には検診者数の増加に対応して検診医を集めることが難しく,また群馬県では検診費用の観点からMMG単独検診の問題が出てきた。そこで同一会場で行われた視触診のみの群,MMG併用群,MMG単独群で乳癌発見率を比較検討した。