日本乳癌検診学会誌
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原著
当院におけるマンモグラフィ要精査率の検討
―比較読影は活用されているか―
近藤 偲瑞子川島 晶子和田 守史
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2014 年 23 巻 1 号 p. 107-112

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抄録

当健診センターのマンモグラフィ検診の要精査率は全国平均に比較して高い。この要因に,比較読影が活用されていない環境があるのではないかと考えた。現在,当健診センターには,PACSが導入され,マンモグラフィの比較読影が容易に行えるようになっている。比較読影が有効に機能しているか否かを検討した。対象は,DRマンモグラフィ装置が導入された2007年4月より2012年3月末までのマンモグラフィ検診読影結果5,451件。PACS未導入で比較読影が行われなかった群と,PACSが導入され比較読影が行えるようになった群の二群に分け,要精査率につき比較,検討した。また,総合判定は1次,2次読影のいずれかでカテゴリー3以上の場合に要精査となるシステムであるため,一方のみの判定で要精査となった数とその所見内容につき比較,検討した。年度別,医師別とも比較読影の有無により要精査率に有意差は見られなかった。しかし,すべての医師で同年度検出率に比べ,比較読影実施下での検出率が高くなった。各医師毎に特徴がみられた所見内容は,比較読影の有無により有意差をもって低下した。比較読影は活用されているが,要精査率は低下していないことが判明した。要精査率の高い原因は,読影の精度や総合判定方法にあると考えられる。今後はこれらの検討を行い,改善に努めたい。

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