日本乳癌検診学会誌
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原著
検診発見乳癌の視触診・マンモグラフィ・乳房超音波での検出特徴と 視触診省略についての検討
杉山 迪子 大塚 博紀児玉 ひとみ
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2015 年 24 巻 1 号 p. 132-138

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抄録

現在,視触診(CBE),マンモグラフィ(MMG),乳房超音波(US)いずれかとその組合せが検診に最適かの議論があり,特にCBEは省略可能かについての議論があるが,一定の見解に至っていない。今回,モダリティ別の検出率や検出されない乳癌の特徴を検討 し,CBEが省略可能かについて明らかにすることを目的とした。 2009年1月~2012年10月に当施設での乳癌検診受診者のべ16,112人の女性のうち,44例 の発見乳癌を対象とし,検診・精検・手術記録を調査した。 検出率は,CBE単独40.9%,MMG 単独90.9%,US単独97.7%であり,CBE+MMG 100%,CBE+US 97.7%,MMG+US 100%であり,CBE単独はいずれに比しても有意に低かった。発見時病期別では,Stage0でCBE単独の発見はなく,StageⅠまではCBE単独が他のモダリティ単独より検出率が低く,StageⅡで他と同様となった。検出されない乳癌の特徴は,CBEは「MMG で石灰化」 「USで2cm以下の腫瘤」 ,MMG は「若年者」「高濃度乳腺」 「USで1.5cm以下の腫瘤」 ,USは「MMG で石灰化」であった。検出率の観点からはMMG+USが最良であり,病期分析からはCBEは他に劣後する,検出されない乳癌の特徴を整理するとMMG+USが相補的であり,以上からCBEは省略可能と考えられるが,自覚症状例を確実に医療受診とする必要があると考えられた。 検診での自覚症状例を確実に医療受診とし,MMG+USを検診として実施すれば,検出率の観点からはCBEは省略可能であると考えられた。

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