2016 年 25 巻 1 号 p. 31-42
乳癌検診の全国集計報告は今年度で第5回目(2012年度分)を迎える。全国集計は対策型検診と任意型検診をカバーし,施設単位での精度管理に直結する統計となり,今後,さらにデータのフィードバック・サブ解析や二次利用,新たなプロセス指標の算出などの将来展望が明らかとなって来た。第5回全国集計結果(2012年度分)は,第1~4回の集計結果と比較すると,概ね前回と同様の傾向である。まとめると, 1)登録受診者数は,年々増加傾向にある。 2)登録施設数は,初回から3年目まで低下したが,その後,再び増加した。 3)集計の状況(年齢階級別,受診歴別,症状有無別)に改善傾向は見られなかった。 4)対策型が2/3,任意型が1/3であり,対策型でのマンモグラフィ単独検診の割合が増加した。 5)プロセス指標では,要精検率の低下,精検受診率・非浸潤癌割合・陽性反応適中度の上昇が示された。 6)技術体制的指標では,年々,精度の向上が認められた。受診者への説明(74%)・撮影の精度管理(72%)・読影の精度管理(92%)は良好であるが,システムとしての精度管理(48%)は不十分と言える。 プロセス指標設定のためには, 1)年齢階級別では,今後,平成25年度地域保健・健康増進事業報告の「がん対策推進基本計画」(平成24年6月8日閣議決定)に基づく40歳から69歳の集計結果の検討 2)MMG 単独,MMG 併用のデータを中心に検討 3)初回と繰返しで,検診成績が大きく異なるため,分けて検討 4)任意型の登録数の増加 5)システムとしての精度管理の精度向上 が望まれる。