日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
Print ISSN : 0918-0729
ISSN-L : 0918-0729
“受けてよかった乳がん検診”にするための工夫
マイナスイメージをプラスに変える
気分不良者対策から患者満足度向上を目指して
中原 博子 野田 幸代大村 智美石橋 由紀田中 眞紀山口 美樹大塚 弘子
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2016 年 25 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

マンモグラフィ検査は乳房を圧迫固定して撮影するという検査であることから,2枚の板で挟まれることによる痛みや検査時の緊張から,撮影時に気分不良を訴える受診者の方が見られる。これらの方は,検査に対するマイナスイメージから次回受診を控えることが多い。検診では繰り返し受診が大切である。検査に対するマイナスイメージをできるだけ少なくするために,気分不良者にはできるだけ速やかに対応することが必要である。しかしながら,撮影室内で担当技師が1人で行えることは限られている。また,気分不良を訴える受診者を1人にして応援を呼ぶこともなかなかできないのが実情である。 当院では,担当技師だけで対応するのではなく,チームとして事務職員,看護師,保健師も加えた中で対応を行っている。その際,撮影室には呼び出しボタンを設置し,介抱セットとして,撮影室内で気分不良者に対する処置を行う前に必要とされる物品など揃えた箱を用意し,応援者,担当技師と役割を明確にして対応している。介抱セットは撮影室近くの人目につく場所に保管し,保管棚には注意事項を添付している。毎日注意事項を目にすることから,たまに応援者としてかかわる際にも内容を理解して行動することができることから,速やかな対応ができている。また撮影担当者のみならず,チームとして受診者に対応することから,問題点の共有もできるようになった。 これらの結果,以前より速やかな初期対応を行い,受診者に対して,検査に対する不安感や負の印象をできるだけ少なくし,次回受診に繋げることができるようにチームとして受診者に対応している。気分不良を訴える受診者が,検査に対するマイナスイメージを持ったまま検査を終了することなく,受けてみようとより思ってもらえる接遇をスタッフ間で協力して確立することが満足度向上に繋がってくる。

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