日本乳癌検診学会誌
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経過観察症例に対する地域連携
良性腫瘍の経過観察における精密医療機関と検診施設の連携
伊藤 吾子 周山 理紗三島 英行
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2017 年 26 巻 2 号 p. 175-179

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抄録
乳癌検診においては,ある一定数の良性腫瘍が発見される。精密医療機関において,細胞診,組織診等を行い,良性腫瘍と診断されたものは,一定期間以上の経過観察は不要である。これらを引き続き医療機関で経過観察することは,真に必要な患者への医療が滞る一因ともなる。しかし,これらの受診者に検診受診を勧めると,再度要精密検査となることも多く,受診者,医療機関双方の負担,不満が増す。 茨城県北部には当院を含め,精密検査のできるクリニックが2つ,病院が2つあるが,いずれも多くの良性病変の経過観察を行う余力はない。対して当地域には,超音波併用乳癌検診を行っている検診施設が複数あり,当院にて良性病変と診断し,病院での経過観察が不要と判断した場合には,以降の検診受診を勧めている。 この際,超音波の画像をプリントアウトし,余白に経過,施行した検査,診断名等を記載したものを本人に渡し,次回の検診受診時に持参するよう伝えている。これを次回検診受診時に超音波を行う技師に見せることにより,精査済みの良性病変を再度要精査としてしまうことをある程度防ぐことができる。 既知の良性病変に対しての不要な要精査を減らすためには,医療機関と検診施設が良性病変の情報共有,連携を図ることが必要である。
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