日本乳癌検診学会誌
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原著
対策型検診のマンモグラフィ検査での,読影医による乳房の構成の判定における偏りについて
船山 和志 久保内 光一土井 卓子水野 恭一
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2018 年 27 巻 1 号 p. 77-80

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抄録

対策型の乳がん検診において,マンモグラフィ検査で高濃度乳房と判定された場合に受診者に通知するべきかどうかが近年話題となっている。視覚による乳房の構成の判定には不確実性が存在するといわれているが,国内の大規模な対策型検診における状況は明らかではない。そこで,通知体制構築の際の参考とすることを目的に,われわれは横浜市の対策型乳がん検診受診者66,831名において,読影医ごとの高濃度乳房と判定した割合を比較したところ,有意に異なっていた(P<0.01)。また,読影医が高濃度乳房と判定する割合は,受診者が40歳代では最も少ないものが5.9%,多いものが97.8%,50歳代では2.3%~97.6%,60歳代では2.0%~97.6%,70歳以上では2.0%~95.5%と大きな幅があった。このことから,わが国で通知体制を構築する際には,判定の精度向上策や受診者への判定の不確実性の周知方法を検討する必要があると思われた。さらには,通知体制構築のためには高濃度乳房への受診者の理解を深めることと,読影医が受診者への通知を意識して乳房の構成を判定することが重要と考えられた。

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