日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
Print ISSN : 0918-0729
ISSN-L : 0918-0729
原著
カテゴリー3の石灰化に対するステレオガイド下吸引式組織生検の検討
岩本 奈織子 有賀 智之大西 舞後藤 理紗堀口 和美本田 弥生宮本 博美堀口 慎一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 27 巻 2 号 p. 161-165

詳細
抄録

マンモグラフィのカテゴリー3(C-3)石灰化症例におけるステレオガイド下吸引式組織生検(ST-VAB)の結果を検討する。2005年1月から2017年4月に当院で施行したST-VAB 症例のうちC-3の石灰化を有する287症例289病変を後方視的に検討した。 ST-VAB 結果は,良性194例,悪性69例(浸潤癌11例,非浸潤癌58例),良悪性鑑別困難26例であった。良性と悪性では石灰化の形状と分布に差は認められなかった。悪性では55歳以上の割合が高く(χ 二乗検定p=0.02),乳房造影MRI 検査(以下MRI)で造影域を認めた症例が多かった(χ 二乗検定p=0.0001)。ST-VAB で非浸潤癌の診断で手術を施行した55例のうち,術後病理診断で浸潤部を認めた症例は13例(24%)であった。51例でセンチネルリンパ節生検が行われ,すべて転移陰性であった。 55歳以上でMRI 検査において造影所見を有する症例ではST-VAB の適応と考えられる。一方,今回の検討結果から良性が大部分を占めること,悪性であっても非浸潤癌が80%であることが明らかとなった。閉経前でMRI でも造影所見を認めない症例では,即時にST-VAB を行わず,経過観察でも妥当性があると思われた。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top