日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
Print ISSN : 0918-0729
ISSN-L : 0918-0729
第28回学術総会/シンポジウム2
政令市浜松市における「がん教育」
まずは,教職員のがんに対する正しい知識や理解から
吉田 雅行 中山 理川崎 由美
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 28 巻 2 号 p. 81-87

詳細
抄録

「がん対策推進基本計画」を受け,文部科学省の「学校におけるがん教育の在り方について」の報告及び新学習指導要領により浜松市もがん教育導入を検討している。まずは教職員ががんに対する正しい知識や理解を持つ事が必要と考え浜松市立小・中・高等学校の教諭対象の研修会で筆者が講師を務めた。(1)がんに関する基礎知識,(2)健康と命の大切さを視点としたがん教育の在り方,(3)がん患者への理解と共生について講演した。1)がん教育のねらい:がんについて学び健康に関心を持ち,正しく理解し適切な態度や行動をとること。2)問題点(注意点):小児がん経験者や家族・遺族もいる可能性があり事前に配慮すべき生徒の存在を確認しておく必要がある。予防の話ばかりではつらくなる生徒もおり,原因不明なものやわからないこともたくさんあり,なった人が悪いのではなく周囲が寄り添うことが大切で,生活習慣や遺伝だけが原因ではないことを伝える必要がある。3)実際の様子:当地区ではまだ始まっていない。4)乳腺領域で必要な教育:一番大切な事はご自身の乳房に関心を持つ「ブレスト・アウェアネス」で,適切な行動に繋がる教育が必要である。5)その他:体験者の話しや健康を維持するために何ができるかを考えるミニワークショップなども大切である。 今後,浜松市・教育委員会・がん診療連携拠点病院の連携による学校における「がん教育」プログラムの策定を願っている。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top