日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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原著
新型コロナウイルスの流行が乳がん検診受診意図に与えた影響について
松本 綾希子 高橋 宏和角田 博子鈴木 昭彦植松 孝悦笠原 善郎
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2021 年 30 巻 1 号 p. 55-59

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抄録

2020年3月以来,日本国内での新型コロナウイルス流行の影響を受けて,乳がん検診の開始時期が多くの自治体や職域で延期となった。6月以降徐々に再開しているが,一般市民が検診受診についてどう考えているかは明らかではない。そこで今回,3月来の新型コロナウイルスの流行が,受診意図にどのような影響を与えているのか分析するためにアンケート調査を実施した。全国の40~69歳の一般女性に対し,2020年9月3~7日にインターネットによるアンケート調査を行い,4,700名から有効回答を得た。約半数の回答者が今年乳がん検診を受ける予定があったが,46%が予定を変更すると回答した。年齢が高いほど,またこれまで定期的な検診受診歴がないほど,予定を変更すると回答した。居住地域の流行度や周囲に感染者がいたなどの背景因子は,受診意図の変化との強い関連はみられなかった。今回のような未知の感染症流行という事態においても,乳がん検診の受診には平時の検診習慣が影響を与えていることが示唆された。また,検診を受けられない間は「ブレスト・アウェアネス」を実践することも重要である。今後の流行状況などによって,調査時点での受診意図と実際の受診行動は異なる可能性があるため,年度末に再度同規模の調査を行う予定である。

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