2021 年 30 巻 1 号 p. 61-66
わが国における乳がん検診は,1987年視触診導入により開始され,その後2000年にマンモグラフィ検査が導入された。マンモグラフィ単独検診において死亡率減少効果が認められた一方,視触診については死亡率減少の上乗せ効果を判断することができないこと,精度管理が困難なことなどの経緯から,2016年推奨しないとされた。 われわれが2018年に行った前回調査では,本県群馬県の乳がん検診の実施体制の全容を解明することはできなかった。そこで,実施状況について質問紙調査を行った。集団,個別検診ともに指針に基づく検診が実施されているものの,その割合は指針で推奨されない検診を下回る実施率であった。指針に沿った検診を行うことにより,受診者の拘束時間の短縮や検診費用削減が期待できる。 視触診が推奨されないことを補う対策として,自己触診法の重要性が報告されている。乳がん検診を行う現場では,診療放射線技師による乳房自己触診の指導や,マンモグラフィ撮影技師による問診と触知の実施,撮影技師が知りえた情報の医師への報告,専門知識を備えた技師による受診者に対する説明など,技師による様々な取り組みが行われている。マンモグラフィ単独検診移行のためには,診療放射線技師技師による取り組みがより重要であると考えられる。