日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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ISSN-L : 0918-0729
原著
乳房密度評価ソフトウェアQuantra®を用いた日本人女性の乳房構成の評価に関する検討
佐々木 みゆき 坂 佳奈子富樫 聖子川上 睦美川口 祐子古賀 知子伊藤 裕美細谷 小百合八木 真央小野 良樹
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2021 年 30 巻 1 号 p. 81-85

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抄録

近年,乳がん検診において乳房の構成の通知の是非を問ういわゆる高濃度乳房問題が生じている。現在,乳腺を定量的に評価するための様々なソフトウェアが開発され,マンモグラフィ装置に搭載されている。欧米人を対象に乳房密度評価ソフトウェアQuantra®を用いて高濃度乳房と非高濃度乳房のカットオフ値が算出されているが,日本人をはじめとするアジア人を対象に同様の定量的評価を行った報告はない。今回,我々はQuantra®を用いた定量的評価を行い,日本人における最適なカットオフ値について検討した。また,乳房厚の薄い30mm 未満の場合でカットオフ値に違いがあるのかについても検討した。その結果,当施設における日本人の高濃度と非高濃度のカットオフ値は26%であった。乳房厚30mm 未満では視覚的に高濃度寄りに判定しがちであると言われているが,30mm 未満におけるソフトウェアのカットオフ値は32%になり,30mm 以上とは異なることが判明した。ソフトウェアによる定量的判定は経験豊富な読影医の判断には劣る場合もあるが,乳腺散在性か不均一高濃度かで意見が分かれる場合などでは,このようなソフトウェアによる定量的な判断が参考になると考えた。

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