日本乳癌検診学会誌
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第30回学術総会/要望演題 マンモグラフィにおけるCBTの臨床的意義
マンモグラフィにおける圧迫乳房厚(Compressed Breast Thickness)と臨床上各因子との相関性の検討
藤村 彩 田村 知子川崎 裕美子
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2021 年 30 巻 2 号 p. 177-181

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抄録

本研究では圧迫乳房厚(CBT)が診断上の層別因子として活用可能か,また CBT と各因子との相関性を検証した。MLO の3D 撮影をした460例において CBT20mm 台~50mm 台までを10mm ずつに分け,8項目について検証した。平均年齢は53.8歳,平均圧迫圧は103.5N,平均 CBT は39.7mmであった。高濃度乳腺の割合は CBT が大きいと小さくなる傾向があった。AGD は CBT と弱い正の相関が,BMI は CBT と正の相関がみられた。腫瘤率,悪性腫瘤率は CBT が大きくなるにつれ高くなっており,悪性病変の感度は3D 撮影を追加することで上昇した。CBT が大きいほど3D 追加後のカテゴリー変化率は高くなった。CBT が小さい乳房は早期に腫瘤を触知可能だが,CBT が大きい乳房ではそれが困難で発見が遅れると推測される。また先行研究より BMI に比例し乳癌発生リスクが増加する傾向が示されている1)。本研究では CBT は BMI に比例しており,CBT が大きいほど悪性率は高い結果を得た。これより CBT が大きいほど乳癌発生リスクが高いと考えられる。大きい CBTは乳癌のリスクファクターになる可能性があり,CBT が大きい患者ほど3D 撮影を推奨する。また必要に応じて他検査を適宜追加する事が望ましい。同時にブレスト・アウェアネスを普及させていくことが重要である。

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