日本乳癌検診学会誌
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第31回学術総会/ワークショップ1 職域検診の精度管理ー現状と課題
職域におけるがん検診の精度管理:新たな集計フォーマットの提案
平良 まさみ 土屋 易寿美福田 崇典大内 憲明
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2022 年 31 巻 1 号 p. 57-62

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抄録
職域におけるがん検診は全体の約30~60%を占めるが,法的根拠がなく任意のため検査項目や対象年齢等,実施方法は様々である。2018年に厚生労働省から『職域におけるがん検診に関するマニュアル』(以下,マニュアル)が発出されたが,比較的若年層が多い職域におけるがん検診の実態に即した精度管理指標や,事業評価のためのデータ収集の体制構築が必要である。 そこで本研究では,「マニュアル」に沿った集計フォーマットを作成し,2017~2020年度当健診機関でマンモグラフィを実施した199,597人について,地域,職域における,初回・非初回,年齢層別でのプロセス指標の比較を行った。また,2019~2021年10月までのマンモグラフィ実施者128,319人で COVID-19によるがん検診への影響を検討した。 職域における乳がん検診では,初回で,受診者数が少なく,要精検率は高いが精検受診率が低く,がん発見率は高いが早期がん割合が低かった。また,若年齢と特に推奨する年齢(40~69歳)の精検受診率が低いなど,年齢層によってプロセス指標が異なっていた。これらのことから,職域がん検診においても,早期発見により死亡率減少効果に繋がるようプロセス指標の改善が求められる。また,「マニュアル」に準じて集計フォーマットを作成することで,検診実施機関や事業所ごとのプロセス指標の評価が可能となり,パンデミック発生時などには,集計フォーマットを活用することで,検診の受診状況および精度指標を迅速に評価できることが示された。
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