Breast awareness は「乳房を意識する生活習慣」についてのキーワードで,本学会も効率的かつ効果的な乳癌対策と考え,乳がん検診と並ぶもう一つの乳癌対策の柱と考えている。しかし,その認知度は国民に広く啓発できていない。その原因を解決するためにわれわれは成人女性を対象に,乳がん検診受診に関する受診状況,自己検診,心理社会的状況,個人属性に関するアンケート調査を実施。自己検診を breast awareness とみなし,検診受診歴,心の健康度・疲労度,心理ストレス反応,セルフ・エフィカシー,個人属性との関連について解析した。「自己検診あり」は63.7% (1,151例/1,617例) であったが,毎月行っている割合はわずか2.6%で,時々28.9%,気が向いた時64.0%であった。Breast awareness と心理ストレス反応 (SRS-18) との関連は,抑うつ・不安 (P<0.001) ,不機嫌・怒り (P<0.006) ,無気力 (P<0.001) ,セルフ・エフィカシー (GSES) では,行動の積極性 (P=0.04) ,失敗に対する不安 (P<0.001) ,心の健康度・疲労度 (SUBI) では,心の健康度 (P=0.024) ,疲労度 (P=0.028) に問題があれば悪影響となった。個人属性に関しては,年齢が高い (P<0.001) ,子どもあり (P<0.001) ,高年収 (P=0.014) ,家族歴あり (P<0.001) がよい影響となった。
本研究から breast awareness の意識は低く啓発する意義は大きい。しかし,心理ストレスや心の健康度・疲労度など内面の問題が悪影響 (闇) となるため,肉体的,精神的,社会的な健康 (ウェルネス) が breast awareness の確立に重要と考えられた。
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