日本乳癌検診学会誌
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第31回学術総会/パネルディスカッション2 HBOC 未発症変異保持者の乳がん検診とサポート体制
がん未発症者への遺伝子変異に基づく個別化検診の現状と課題
飯尾 智美 安井 有香山口 園美中西 湖雪浅沼 栄里入駒 麻希柴田 亜貴子安達 博吉田 雅行武藤 繁貴福田 崇典大内 憲明
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2022 年 31 巻 2 号 p. 177-181

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抄録

がん検診においても遺伝子情報に基づくリスク診断が注目されている。我々は健常ながん検診受診者を対象として,AI チャットボット問診で高リスク者を効率的に拾い上げ,個別化検診プランを提供するSEIREI―CARE プログラムを2021年4月より開始した。希望者には遺伝カウンセリングを受けて頂き,同意者には多遺伝子パネル検査を実施し,遺伝子変異に基づく医療を提供するプログラムである。2021年4月~9月における婦人科検診受診者総数10,742名のうち,AI 問診実施者は1,117名で10.6%,NCCN ガイドライン合致割合の平均は24.9%,遺伝カウンセリング実施割合の平均は9.1%,遺伝子パネル検査実施者は3名であった。がん未発症者が遺伝性腫瘍やリスクについて考え,理解する契機となるため,SEIREI―CARE プログラムへの登録者を増やすことが重要である。がん未発症者への遺伝子変異に基づく個別化検診を実施していくためには,一般女性に対して理解しやすい情報提供を行うことや,関わる看護職がスキルアップし1人でも多く遺伝カウンセリングに繋ぐことが重要であり,今後の課題と考える。

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