2023 年 32 巻 1 号 p. 17-25
日本の乳がん検診は,欧米のデータで乳癌死亡率減少効果が唯一証明されている検診マンモグラフィを40歳以上の女性に対して2年に1回施行するという画一的な方法を推奨している。既に検診マンモグラフィを施行して20年以上経過しているが,今もなお日本人女性の乳癌死亡率が増加を続けている事実から現行のわが国の乳がん検診制度が最適とは言えない。検診マンモグラフィ一辺倒である現行の考え方からのパラダイムシフトが必要である。日本の次世代乳がん検診はブレスト・アウェアネスの啓発を行うとともに,組織型乳がん検診を土台とするリスク層別化乳がん検診を導入することで乳癌死亡率減少効果のある,受診率の高い,適切な乳がん検診に変貌することが可能かもしれない。さらにJ―START は,リスク層別化乳がん検診のランダム化比較試験であるという解釈が広く理解を得られるようになれば,40~49歳の日本人女性に対しての超音波検査併用検診マンモグラフィが感度向上,早期浸潤癌発見率向上,中間期癌減少を証明しているので,日本人女性の乳癌死亡率減少効果を期待できる新しい乳がん検診の有用な手段/方法としてその早期導入の方策を具体的に議論することが可能となる。