日本乳癌検診学会誌
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第32回学術総会/パネルディスカッション2 乳房構成判定法の検討
乳房の構成と自動解析ソフト
森 美央 藤岡 友之久保田 一徳立石 宇貴秀
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2023 年 32 巻 1 号 p. 53-56

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抄録

高濃度乳房には,乳がんの検出率が低下するマスキング効果と,乳がん発症リスク自体が高いという2つの問題がある。これらの問題を症例ごとに把握するために,デジタルマンモグラフィにおける乳房の構成や濃度を自動解析するソフトウェアの開発が進められてきた。これらのソフトウェアは,乳腺実質の濃度を定量評価として測定し,任意のカットオフ値を設定することで定性評価も行っている。『乳がん診療ガイドライン2022年版』(以下,ガイドライン)のフューチャーリサーチクエスチョン(以下 FRQ)【1】「マンモグラフィの乳房構成の判定に自動測定ソフトを用いることは有用か?」では,自動解析ソフトの乳房の構成における視覚評価との一致性,乳がん発症リスクの予測に関する論文についてシステマティック・レビューが行われた。視覚評価との一致性については,Kappa 係数を報告した16文献は比較的良好な一致率を示したが,日本人女性を対象とした研究は2本と少なかった。高濃度乳房に伴う乳がん発症リスクの増加について,濃度判定を ACR BI―RADS の分類,商用ソフトで検討した論文は5本あり,BI―RADS 分類と同等もしくはそれ以上のリスク予測が可能と結論されている。ただし,こちらも日本人においても有効かどうかはエビデンスが少ない。商用ソフトを日本において使用するにはさらなる検証が必要である。

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