日本乳癌検診学会誌
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第32回学術総会/特別企画2 ブレスト・アウェアネス~知識と意識を行動へ
ブレスト・アウェアネス:厚生労働科学研究笠原班の成果物
植松 孝悦
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ジャーナル 認証あり

2023 年 32 巻 2 号 p. 129-133

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抄録

ブレスト・アウェアネスの目的は,①乳房の健康に関する知識を身に付けることと,②自覚症状のある乳がんに早く気づき医療機関への受診を促し進行乳癌を防ぐことにある。ブレスト・アウェアネスの普及と乳癌死減少は逆相関性が証明されており,乳がん検診と並ぶ乳癌対策の医療政策として,ブレスト・アウェアネスの啓発は世界的に実施されている。乳房を意識する生活習慣(ブレスト・アウェアネス)の啓発を通して,乳癌が疑われる有症状の女性は速やかに病院に受診するという適切な医療受診行動と乳がん検診は無症状な女性が定期受診をするという正しい乳がん検診リテラシーがわが国に定着する。そのためにも,国(政府)が国民(一般女性)に対して公共電波/メディア/ソーシャルネットワーキングサービスなどを積極的に活用し,ブレスト・アウェアネスを啓発する必要がある。また,近い将来に超音波併用検診マンモグラフィが導入された場合に懸念される乳房超音波検査の偽陽性増加を回避するための要精査基準の緩和に伴う微小乳癌偽陰性に対するリスクマネジメントにブレスト・アウェアネスの啓発が有効となるはずである。日本の次世代乳がん検診は,ブレスト・アウェアネスを土台する超音波併用検診マンモグラフィを導入することで,乳癌死亡率減少効果のある適切な乳がん検診に変貌する可能性がある。

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