当施設では2017年よりトモシンセシス撮影(Digital Breast Tomosynthesis)を併用したマンモグラフィ検診を任意型検診の一部で実施している。DBT を加えることでプロセス指標の向上を認めたが,被ばく線量や撮影時間の増加に加え,読影時間延長,画像データ量増加も大きな問題点となっている。そこで今回,Hologic 社の新技術(3DQuarumm
TM)による6㎜厚の画像を用い,従来の1㎜厚と読影結果を比較した。6㎜厚の画像を用いる目的はデータ量の削減と読影時間の短縮である。【対象と方法】対象は2020年10月~2021年3月の乳腺外来患者で通常マンモグラフィ(2D)にDBT(3D)を加えて撮影した443名であり,左右どちらかあるいは両方がカテゴリー3以上の判定であった474乳房について後方視的に検討した。同一症例に対して「2D+1㎜厚3D」と「2D+6㎜厚3D」の2セットの画像を用意し,A 評価以上の読影医3名が両セットの判定を1ヶ月以上の間隔をあけて判定した。【成績】全症例のカテゴリー一致率は77.5%,カテゴリー2以下とカテゴリー3以上で分けた判定一致率は85.9%であり,1㎜厚と6㎜厚において判定結果に差はなかった。癌症例のカテゴリー一致率は75.0%,判定一致率は90.5%であった。癌症例のカテゴリー不一致例は,腫瘤では6㎜厚の方が,構築の乱れでは1㎜厚の方がカテゴリーを高くつける傾向にあった。読影時間に関して6㎜厚は1㎜厚に比べて20症例で平均約2.7分短縮された。【結語】6㎜厚と1㎜厚ではカテゴリー2以下と3以上の判定一致率は高かった。また読影時間の短縮が期待できる結果であった。今回の検討により検診においては6㎜厚の使用が許容されることが示唆された。
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