抄録
乳癌検診にマンモグラフィが導入されるようになり, 微細石灰化で発見される乳癌症例が増加している。しかし, 石灰化病変は微小なため, 診断や治療も容易ではない。われわれの施設では, 平成11年9月にステレオタクティックガイド下吸引式乳房組織生検法 (マンモトームTM) を導入し, 低侵襲, 短時間で確実に診断が得られるようになった。以前はフックワイヤーを挿入し, 外科的生検を行っていたが, 患者への侵襲は大きく, 特に良性の症例では, 不必要な生検と言わざるを得なかった。
平成15年10月までの4年1ヶ月の間に695例のマンモトーム症例を経験した。この検査の適応はマンモグラフィガイドラインのカテゴリー3以上の微細石灰化であり, 他の検査法 (超音波ガイド下穿刺吸引細胞診等) で診断できなかった症例である。695例の病理組織診断は, 132例 (19.0%) が非浸潤癌, 19例 (2.7%) が浸潤癌, 21例 (3.0%) がatypical ductalhyperplasia (ADH) であり, マンモトームにて悪性と診断された症例は151例 (21.7%) であった。マンモトーム後の治療方針であるが, ADHは追加切除の適応と考えており, 21例中5例 (31.3%) に非浸潤癌が発見された。また, マンモトームで非浸潤癌と診断された症例のうち追加切除によって浸潤巣が認められた症例は10例 (7.6%) あった。カテゴリー分類と病理組織の対比では, カテゴリー3-1には悪性症例を認めなかったが, カテゴリー3-2と診断した458例中, 58例 (12.7%;58/458), カテゴリー4;66例 (52.4%;66/126), カテゴリー5;27例 (93.1%;27/29) に悪性の所見を認めた。
マンモトーム生検は微細石灰化の診断には非常に有用であり, マンモグラフィ検診には必要不可欠な検査法であると考えられる。