日本乳癌検診学会誌
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視触診・超音波・マンモグラフィ併用乳癌検診の発見癌における見落し例の検討
土屋 十次浅野 雅嘉立花 進熊澤 伊和生川越 肇名和 正人
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2005 年 14 巻 3 号 p. 236-244

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抄録

乳癌検診における視触診 (以下, PE), 超音波検査 (以下, US) およびマンモグラフィ (以下, MMG) 各々の検査法で検出し得なかった乳癌症例を比較検討することにより, 三者併用検診の有用性を検証した。3年間に三者併用検診により検出した30例の発見乳癌のうち, PE見落し群は9例, US見落し群は6例, MMG見落し群は7例で, 有病正診率はそれぞれPEが70%, USが80%, MMGが77%であった。ただし, MLOフィールド外で腫瘤を見落した1例を除けばMMGの正診率は79%であった。二者併用検診として見ると, PE・US併用の検出率が90%, PE・MMG併用が93%であるのに対して, US・MMG併用が97%の検出率を示し最も効率が良かった。PEとMMG見落し群は各々の検出群に比し有意に小腫瘤径乳癌が多いが, US見落し群ではUS検出群に比して有意差を認めず, USの見落しは腫瘤の大小ではなく乳癌のUS画像診断上の問題であることが示唆された。PE見落し群はMMG見落し群に比して組織学的浸潤度の低い症例が有意に多い反面, リンパ節転移症例が最も多く, さらにこのリンパ節転移症例はいずれも0.8から0.9cmの小腫瘤径乳癌であった。これらの結果からPEを省略してUS・MMG二者併用検診が効率の良い検診方式と考えられるが, 現行の検診は医師によるPE施行が原則であるため, 結局, 三者併用検診が最良となる。

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