日本乳癌検診学会誌
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これからの乳癌検診における産婦人科医の役割
鎌田 正晴苛原 稔寺本 勝寛森本 紀柏村 正道大村 峯夫永井 宏植木 實
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2006 年 15 巻 1 号 p. 118-124

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抄録

欧米における乳癌死亡率の減少はマンモグラフィ (MMG) 検診の導入と, 60~80%という検診率の高さが寄与している。本邦でも平成16年に本格的にMMG併用検診が導入され, さらに行政に対し, 精度管理と検診率の向上が求められている。
産婦人科医は, 乳がん検診事業のスタート時 (昭和62年) から参加しており, MMG検診の導入にも積極的に関わってきた。産婦人科医会では, 平成11年の検診精度管理中央委員会によるMMG読影講習会開始と同時に, 会員を対象とした講習会を年2~3回主催し, 350名に上る読影医を養成してきた。平成14年には産婦人科乳癌研究会が組織され, 平成18年には乳癌検診に十分な技術と知識を有する産婦人科医の認定制度が発足する。さらに産婦人科学会の研修目標に「乳房疾患」が加えられ, すべての産婦人科医が乳癌を学ぶよう義務付けられている。
現在乳腺専門医・認定医の数に比し乳癌検診の対象者はきわめて多く, 乳癌検診の知識と技術を持った婦人科医の参加は必須である。しかも女性は, 婦人科医による乳癌検診を望んでおり, 婦人科医が積極的に乳癌検診に参加している地域では70~80%が婦人科を受診する。欧米でも, 産婦人科を受診する患者は乳癌検診を受ける率が有意に高いことが証明されており, 現在10%程度に過ぎない受診率向上のためには, 産婦人科医の検診あるいは啓蒙活動への参加は不可欠である。

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