日本乳癌検診学会誌
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マンモグラフィでカテゴリー5と診断された顆粒細胞腫の1例
中務 克彦中嶋 啓雄沢井 清司藤原 郁也水田 成彦阪口 晃一鉢嶺 泰司小林 文小西 英一柳沢 昭夫
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2006 年 15 巻 3 号 p. 290-293

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抄録

症例は36歳女性。主訴は左乳房A領域の腫瘤。触診上は可動性のある表面不整な腫瘤であった。マンモグラフィでは左A領域にspicula tedmassを認め, カテゴリー5と判定した。超音波検査では, D/W比が1.0, 前方境界線の断裂を認め, 充実腺管癌を疑った。乳房MRIでは, 辺縁微細鋸歯状の造影効果が早期に出現し, 浸潤癌と診断された。しかし, 超音波下針生検の結果, 顆粒細胞腫と診断された。画像診断上は浸潤癌を強く疑うため, 鏡視下左乳腺腫瘤摘出術を施行した。乳腺顆粒細胞腫は種々の画像診断上, 乳癌と誤診されることが多いが, 針生検を行えば正確な術前診断が可能である。
乳腺顆粒細胞腫は基本的には良性腫瘍であるが, 悪性化したとの報告も散見される。したがって, 顆粒細胞腫の診断のもと腫瘤摘出を行っても, その後の慎重な経過観察は必要である。

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